読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【フィリピン撮影5日目~6日目】秘密の集落へ

 

f:id:koji7171h:20160521074815j:plain

この旅での僕らの目的は"現地の食材使って村人たちに料理を振舞う"事で、その目的地がこれから向かうカリンガ州にある山岳集落です。

 

朝、カリンガに向かう前に生きたニワトリを買いに市場に行きました。村を訪ねる時は手土産を持っていくのが普通で、お菓子や野菜も定番ですが一番喜ばれるのはニワトリです。以前この村に来た時にお世話になった人に、お土産に何が欲しいか聞いたら食べ物が欲しいと言われました。彼らの暮らしている場所は道路が通っていない山奥で、食料を買いに行くにも町まで一泊二日かけて行かないといけないような所なので、まず必要なものはやっぱり食べ物という事でしょうが、そのシンプルな答えがとても印象に残っています。いま思えばその時の彼の答えが今回の企画に繋がってきたのかもしれません。

 
さて食材の買い出しも終わっていよいよ現地入り。午前中に二本しか出ない乗り合いバスの始発で、集落の麓の村に向かいます。限られた本数のバスは田舎といえど定員オーバーは当たり前で、屋根の上まで人が乗り込みます。僕らも珍しいもんだから屋根に乗って行きました。逆おのぼりさんですね。町を出る時に電線が顔に当たって超危険でしたが、町を出てしまえば山に挟まれ雄大に流れるチコ川を見下ろせる絶景が広がっています。
 
そんな絶景を楽しむ事一時間、集落の麓のバス停に到着。ここから山道を歩いて集落に向かうのですが、旅行者がここに入るには政府公認のガイドが必要です。実はそれがずっと気がかりで、前回ガイドをしてもらったリチャードと連絡が取れずアポなしでここまで来てしまいました。ここでガイドが見つからなければこれ以上先に進めません。バスを降りてリチャードがいないか探してみたけど見当たらない。でも一人見覚えのある人がいて、彼に今回のガイドをお願いする事にしました。その後リチャードにも再会できたけど、用事があって今日はガイドはできないらしい。ともかくガイドが見つかってひと安心といったところです。
 
今回お世話になるのは集落に住んでいるジュン。ガイドでありステイ先のホストでもあります。ちなみにめちゃくちゃいい人です。早速ジュンに連れられてトレッキング開始。最初はバイクで行けるところまで行って、それから一時間ぐらい歩いてやっと集落にたどり着くんですが、炎天下の中さぁ行くぞ!って時に屋根のある日陰で休憩してたけいたが立ち上がった時にゴンッ!と屋根に思いっきり頭ぶつけて、めちゃくちゃ痛そうだったけど不覚にも笑ってしまいました。こうじも笑ってました。ジュンも笑ってました。けいたはピヨってました。
 
けいたの体を張ったゴングでトレッキングスタート。
傾斜はそれほどない道ですが、とにかく暑い!夏のカリンガは暑いと聞いていたけど、思った以上に暑くてなかなかしんどい…休憩しながらゆっくりと歩いて行くと水の流れる音と子供たちの声が聞こえてきました。そこには滝壺があって集落の子供たちが水浴びをしにきていました。山の中腹の大自然の中、素っ裸で水遊びする彼らの光景はまるで楽園。撮れ高バッチリです。
 
僕らは泳ぎはしなかったけどそこの湧き水を飲んでリフレッシュして、もうひと踏ん張り歩きます。棚田を縫うように段を登って行くとようやく集落の入り口に着きました。入り口には家畜の豚が逃げないように低い木の柵がしてあって、その柵をまたぐと不思議と空気が一変して、まるで別世界に来たかのような感覚になりました。これは写真や映像では伝えきれない部分で、自分の目で見て感じないと絶対にわからない感覚です。
 
 

村人たちに手料理を振舞う

とりあえずジュンの家に荷物を置いて、コーヒーを入れてもらって休憩。この辺りで栽培しているオーガニックコーヒーですが、このコーヒーがめちゃくちゃ美味しい!臼で挽いたコーヒー豆をお湯を沸かしたヤカンに入れて砂糖をたっぷり入れて煮込むのがカリンガ式でした。
 
一服入れてまったりしながら、カリンガタイムを楽しむ。
ようやくたどり着いた安心感と甘いコーヒーと村人たちの自然体で柔らかい笑顔に気分はトロトロです。
 
正直ここに来るまで本当に僕らのやりたい事ができるのか心配していたけど、もう大丈夫。やりたいと思っていた事以上の事が起きてる。明日は本当にこの旅のハイライト。けいたのこれまでの経験とこの数日で学んだ事を100%出していけば、絶対に喜んでもらえるはず。
 
翌日朝から仕込みに入って、まず買ってきたニワトリを絞める。
ジュンと隣の家のおじさんにレクチャーを受けながら、けいたは初めてニワトリを生きた状態からさばきます。それを当たり前のものを見る目で子供たちが眺めています。日本だったら「見ちゃダメ!」とか言われそうな光景ですが、ここでは魚をさばくのと同じで当たり前の事です。もちろん肉を食べるためには動物が殺されている事はみんなわかってるはずですが、リアルな部分からは目を背けがちですよね。でも屠殺現場を見る事で食に対する感謝や考え方が変わってくると思います。料理にたずさわってる人はなおさら。けいたもこの初体験で得たものがある様子でした。
 
家の外にテーブルを出して即席キッチンを作って仕込みをしていると、通りがかりのギャラリーがちらほらいたんですが、そのタイミングで村の集会があってみんなそっちに行ってしまって、けいたが料理をしこうじが撮影する中、一時僕ら以外誰もいない非常にシュールな状況にもなりました。
完成に近づくにつれて、匂いに誘われたのか噂を聞きつけたのか集会が終わったのか、人が集まってきました。みんなしっかり家からお皿を持ってきて、まだかまだかと料理の出来上がりを待っています。
 
ちなみにけいたが作っているのは鶏肉のシニガン
シニガンとはたっぷりの野菜と肉を煮込んだオーソドックスなフィリピン料理でみんな大好きです。
 
そんなみんな大好きシニガンをどっか外国から来た料理人がタダで食べさせてくれるとかいうもんだからそりゃ集まりますよね。みんな待ち遠しそうにしてる姿も素直でフィリピンらしくていいですね。
 
シニガンが出来上がっていよいよ"村人たちに手料理を振舞う"の山場、実食の時がきたんですが、さぁできたよ〜とサーブし始めてからノンストップ、ものの5分ぐらいで完売になって、しかもみんなその場で食べずに各自家に持ち帰るっていう予想外の展開になりました。もっとみんなでワイワイ食べながらおいしー!とか言ってるところを撮影するイメージだったんですけどね…素直な村人たちは嵐のように去って行きました。でもそれも僕らのコンセプト"自由でありのまま"に合っちゃってるっていう結果となりました。
 
でもみんな喜んでくれたのは確かで、出来ると信じてやってみて本当に良かったと思います。
 
未知の国の見た事もない食材を使ってたった数日の準備期間で納得の料理を提供できたけいたはやっぱりプロで、ビデオカメラマンとして初めての海外撮影、それも本格的に作品にするために撮影するのは初めてで、最初は手こずりながらも結果的にはバッチリ決めたこうじもプロです。僕もいつも自由気ままに一人旅をしてきたけど、人を連れて限られた日数でミッションをこなせるようにガイドをするのは初めてで、トラブルがありながらもなんとかなりました。自己評価はしませんが、2人にはプロだと言ってもらえました。
 
僕らそれぞれの得意分野を持ちながら全てが初体験でしたが、みんなの目指す方向が一緒で、どうしたらいい方向に向かうのか各々試行錯誤の連続でした。みんないい意味でプライドを持ってるから、これだけやってきたんだぞっていうとこの見せ合いの様にもなっていたと思います。それがお互いに刺激になって満足いく結果になりました。正直もう満足を通り越してみんなフィリピンにハマりすぎて大変な事になってます。
 
 
 
最後に
 
また絶対に戻ってくるよと約束して後ろ髪を引かれながら集落を出たあとは、ここまで来た道のりを引き返しボントックでCHURYAのママやスタッフに挨拶して、バギオにも寄ってマニラまで戻りました。
 
マニラに着いて、ふぅー終わったー!と気を抜いていたら、まさかの帰国便が悪天候で欠航!しかもその時間の名古屋行きだけとかいうレアケースに見舞われて、ガイドとして最後の試練を与えられました。でもなんとか翌日のチケットが取れて無事帰国しました。
 
今回の旅を振り返って出発から計画を実行するまでを記事にしてみましたが、いろんな事が起こりすぎてとても書ききれなかったので要所をつまんでるだけでかなり簡略化してます。あんまり細かくダラダラと書いても仕方ないので、あとはいま製作中の本編映像でフィリピンの雰囲気を楽しんで頂ければ幸いです。
 
 
@Kalinga
Photograph&written by Ryoichi